シャローム!
今日から伝道者の書が始まります。エルサレムの王、ソロモンが書きました。新共同訳では「コヘレト」という書簡名になっています。これはヘブライ語そのままで、「民を集めて語る人」という意味です。
ソロモンは箴言、伝道者の書、雅歌という三つの知恵の書簡を残しましたが、そのうち、詩篇と伝道者の書、雅歌が幕屋の構造とリンクしているという話を聞きました。詩篇が大庭、伝道者の書が聖所、そして雅歌が至聖所です。
特に、この伝道者の書はソロモンが晩年に記したものとして知られています。栄華を極めたソロモンは、晩年に何を伝えたかったのでしょうか。
今日の通読箇所:伝道者の書 1章〜3章
■アウトライン
●むなしい:1章
・空の空:1-3節
・すべてがむなしい4-14節
・まっすぐにできない:15節
・風を追うようなもの:16-17節
・知恵が多くなれば悩みも増す:18節
●骨折った労苦と思い煩い:2章(1-26節)
●主のなさる時:3章
・時がある:1-8節
・すべて時にかなって美しい:9-32節
(1)通読のために心を整える
心を静めて、知恵と啓示の御霊をお迎えしましょう。
(2)通読
今日の通読箇所をまず音読しましょう。
(3)自分なりの受け取ったことをノートに書き記す
コラムを読む前に、自分なりに受け取ったことをノートにまとめてみましょう。
(4)コラムを読む
コラムを読み、質問の答えを考えてみましょう。
■コラム
【1章】むなしい:
・空の空:1-3節
このことばは有名です。空(くう)とは、ヘブライ語で「へベル」と言い、無意味という意味です。文字通り、風や息など、目に見えない、中身のないものを意味します。多くの人は経済や名声を残すために一生懸命苦労して労働しますが、ソロモンはそれらすべてがむなしいと結論づけています。
しかし、このことばに注目してみましょう。それは3節の「日の下では」ということばです。つまり、地上の価値観、目に見えることにおいてむなしいと言うことです。
そして、もう一つ覚えておく必要があるのは、これがソロモンの晩年に書かれたと言うことです。ソロモンは沢山の妻を持っていました。その中には多くの外国から来た妻がいました。晩年のソロモンは彼女たちによってもたらされた異教の神を信じるようになりました。その時のソロモンが書きました。神の啓示をそのまま書き記したと言うよりは、ソロモンの個人の意見のように思えます。
それでも、主はこの伝道者の書を聖書の聖典に入れてくださっています。ソロモンのことばを神のことばとして記してくださっています。この伝道者の書を通して、私たちは神様を離れたらすべてがむなしくなると言うことを学べるのではないでしょうか。
・すべてがむなしい4-14節
人の齢は約80年ほどです。世代から世代へと時代は過ぎ去りますが、地はいつまでもそのままです。ヘルモン山も富士山も、噴火や地震により多少の形の変化はあるかも知れませんがずっとそこにあります。
神の創造の御業はすでに終わりました。ですから、ソロモンは「日の下には新しいものは一つもない」と言っています。自然現象も同じ事を繰り返しているだけです。
もし新しいことがあるように思えたとしても、それはかつてあったものの焼き直しにしか過ぎません。ただ人類の記憶にないだけです。この事から学べることは、すべて聖書から知ることができると言うことです。現代の科学に比べて、聖書は古いと言われるかも知れません。しかし、実は最新の事、真理の事が書かれています。
・まっすぐにできない:15節
真理を見るなら、同時に曲がっているものも見えてきてしまいます。しかし、覚えておく必要があります。他人は変えることができません。一番近い家族ですら、考え方を変えることはできません。唯一変えることができるのは自分だけです。
ソロモンは、他人を変えることは、なくなっているものを数えることと等しいと言っています。
・風を追うようなもの:16-17節
今までの歴史でも多くの人が知恵を求めてきました。知恵者であるソロモンですら、知恵を求めた結果はむなしいということでした。人は陰険であり、愚かであり、それを直すことは難しいのです。
もし、神様を知らないで知恵を追い求めるなら、頭がおかしくなってしまうでしょう。歴史上の偉人でも、知恵を求めた結果、自害してしまった人は少なくないでしょう。
私たちは知恵を求めるとき、まず神様の愛と恵みに立つ必要があります。その上で知恵を求めます。みことばを読むとき、否が応でも神様の聖さを知ります。同時に、人の無力さを知ります。そこでイエス様の愛を知らなければ、救いはありません。主はどうしようもない私たちを救うために来て下さいました。
・知恵が多くなれば悩みも増す:18節
知恵が増えれば増えるほど、見えなくて良いものが見えてきます。それだけ悩みも多くなります。沢山の知識があれば、自分がその生き方にふさわしくないと知り悲しみを増します。神様と離れた知恵と知識は人を破滅と狂気に導きます。
【2章】骨折った労苦と思い煩い
ソロモンは笑いも快楽もばからしく、むなしく感じました。心は知恵によって導かれましたが、ぶどう酒を飲み快楽にふけりました。その中に何か良いものがあるかどうかを試したのでしょう。
笑いも快楽も楽しく魅力的なものでしょうが、イエス様との関係を深めていく中で、それらのものは色あせていきます。そして、やがて主を知ることの喜びを見いだすようになります。
ソロモンはビジネスを拡大し、様々な事業に取り組みました。心の赴くままにあらゆる楽しみをしました。しかし、そのすべてがむなしいと言っています。
ソロモンは立ち止まり、振り返って考えてみると、すべてがむなしくなりました。この時はソロモンが一番の知者ですが、おそらくこの後にもっと知恵のあるものも出てくるのではないかと考えたのでしょう。そして、自分の死について考え、愚か者もの知恵あるものも死を経験することを悟ります。そして、どちらも記憶されることはないと言っています。私たち人間の死亡率は100%です。イエス様が迎えに来られた場合は別ですが、それはいつかわかりません。ですから、私たちは一生をこの地上で暮らす事も考えつつ、いつイエス様が来られても言い準備をしておかなければなりません。いずれにしても、私たちはずっとこのまま地上にいることはないと言うことを意識して生きることは大切なことです。自分の死を意識した人の生き方は、なにも考えずに生きる人の生き方と違います。
ソロモンは自分の築いた富を後継者に渡すことがむなしいと考えました。レハブアムです。私の疑問に、これほどの知恵を持っていたソロモンがなぜ子どもをこの通りに教育しなかったのかというものがあります。おそらく、原因は母にあるのかなと想像します。それであっても、ソロモンも一緒になって子どもを教育すれば、違っていたのではないかと思います。
24節には、ソロモンは食事と労働の他は何も良いことがないと語っています。神から離れて、だれが食べ、だれが楽しむことができようかと言っています。罪人は神を知ろうとせず、この世の富や名声だけを求めるので、日ごとに与えられる糧で満足します。私たちは主によって満ち足りる生き方をしていきたいものです。
【3章】主のなさる時
・時がある:1-8節
時というものはすべての人に平等に与えられています。ある人には一日が38時間で、ある人には17時間と言うことはありません。お金持ちも貧しい者も、健康な者も病に苦しむ者も、一日は24時間です。
また、時というのは流れます。止めることも戻すこともできません。もちろん、聖書の中で何度かは神様は時を止められたり、時間を巻き戻したりされましたが、通常は一定の時間が流れています。
その時間の流れの中で、私たちは日々の営みをしています。それらは偶然しているように思えるかも知れませんが、すべては主の御手の中にあり、主の定まった時があります。ここに書かれている時を朗読し、味わってみましょう。私たちも神の時の中に生かされています。
・すべて時にかなって美しい:9-32節
11節は、伝道者の書の中でも最もゆうめいなみことばではないでしょうか。「神のなさることは、すべて時にかなって美しい。」本当にその通りです。私たちは日ごとの労苦が与えられています。それを忠実に行っていくとき、主は私たちを顧みて下さり、心に永遠への思いを与えてくださいます。私たちは永遠の中の一部に生かされています。ですから、永遠のすべてを知ることはできません。私たちにできるのは今を精一杯、主のために生きることです。
14節はとても重要な悟りです。人は神のされることに何も付け加えることもできないし、取り去ることもできません。ただ、主を恐れる事が大切です。
16節からは、日の下で起こっている不正が書かれています。しかし主はその上におられ、すべてをさばかれます。そして、ソロモンは人も獣も同じだと言います。21節に注目してみてください。人の子らの霊は上に上り、獣の霊は地の下に降りていくとあります。私はかつて、この事を贖われた人が天国に行き、ペットなどの動物は地の下に行くと思っていました。しかし、黙示録を見てみると、ライオンが草を食べています。ということは、私の考えは間違っています。では、このことは一体どういうことなのでしょうか。
これは私たちのたましいの事です。獣とは何でしょうか。自分勝手に好きなときに好きなことをする生き物です。つまり、律法のない生き方です。一方、人の子はイエス様によって贖われた者です。この者の霊は上に登ります。しかし、神に従おうとしない者の霊は地の下に下っていってしまいます。
私たちは自分を含め、ひとりでも多くのたましいが上に上げられるように祈り、福音を伝えていきましょう。
(5)ノートに記す
文中の質問、また以下の質問の回答をノートに記しましょう。
・【観察】今日の通読箇所の内容を簡潔にまとめましょう。
・【観察】神様はどのようなお方ですか?神様のご性質や神様がどのように働かれるかを書きましょう。
・【観察】ここからどんな真理や教訓を学べますか?
・【適用】自分の生活にどのようにあてはめることができますか?
・【感謝】受けた恵みや感謝はありますか?
・【祈り】実行できるように祈りましょう。
(6)祈り
実行できるように、主に切に求めて祈りましょう。
(7)分かち合う
ページの一番下にある「コメントを残す」というところに、受けた恵みを分かち合いましょう。
神のなさることはすべて時にかなって美しいです。
一人でも多くのたましいが救われるように祈ります。
伝道の書まで拝読進めてこられた事に感謝します。
あれだけの栄華を極め、知恵に満ち満ちたソロモンの言葉を、箴言に引き続き読み進めると、神様なしの生きざまは空だと語った言葉が、身に沁みます。
ソロモンの歴史を思い出しながら、頂くみ言葉は今までとまるで違って見えます。
通読の大切さも改めて感じます。
この後の、神様からの語りかけに期待し、悟り、味わっていけますように。